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思いつくまま 昔話
およし 
                                     05/12/11
「潮騒」という田原市の太平洋海岸地帯の整備に関する冊子が回覧板で回ってきました。
その中に、昨年亡くなられた、地元出身の山田もと先生の書かれた昔話があります。
今回の話の中に「およし」の話が出ていて、おばあちゃんから聞いた話を思い出しました。

昔、戦争前だった、どこから来ただか、およしという未亡人がおった。
ちょっと、頭がとろくて村の付き合いはようせんかった。

浜でイワシが掛かってみんなで網からイワシをはずしとると、
およしがどこからか現れて、網のまわりをちょろちょろしとるだよ。
みんな、なんと言うわけでもなく、イワシをわざと落としてやると、
およしが、ささっと、砂まみれのイワシを持って行っての、
掘っ立て小屋のような家の真っ黒な汚い鍋で煮干を作るだよ。
それを田原の市に売りにいくだけど、そんな煮干は人間様は食べれやぁせん。
町の奥様が女中を連れてきて
「猫に食べさせるから、その煮干をお買い」
と言って、買ってくれるだげぇな。

まだわしが新嫁さの頃、昼の片付けが終ってやれやれと思うと、おじいさんが、
「やーーい、およしがまっとるぞーー」
と、言うもんだで、門に行くとおよしの桶が置いてあるだよ。
仕方ないで、センゲン(近所の屋号)の辺りにあった井戸まで水を汲みに行くだよ。
およしは、うちの前の坂の上の辺で水を汲んでくれるのをじっと待っとるで、
元の場所に水を汲んだ桶を置いてやると、知らん間に持っていっちまうだよ。
どうやって、暮らしとるだか、身寄りもないようだったが、
戦争が始まった頃だか、いつの間にか死んじまっとったよ。


昔は、生活保護も介護保険もなかったけど、
誰が言うでもなく、弱いものは助け合って生きていたのかもしれない。
おばあちゃんの話を聞いていると、豊かになった今の生活、
昔の方が豊かなものもあった気がします。
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